こえ部とnanaとニコニコ動画の社会学

音声投稿ウェブサービス「こえ部」が2016年9月10日にクローズすることが発表されてしまいました(´・ω・`)

こえ部自体を知らないという方も多いと思うのですが、ニコニコ動画界隈にとっては非常に大きなニュースなのです。これを時系列で追っていくと、こえ部の占めるポジションの重要性が見えてきます。

koebu

ニコニコ動画周辺サービス3つの世代

コミュニケーションプラットフォームの移り変わりに応じて、ニコニコ動画周辺でよく使われるサービスも大きく3回くらい変わっています。これら3つの世代を詳しく見てみます。

第1世代
2007~
mixi系SNS
音声投稿サービス
ピアプロ
ボーカロイドにゃっぽん!
シングリンク
こえ部
ケロログ
voon
mixi
モバゲーTOWN
GREE
第2世代
2010~
Twitter
連携サービス
twaudio
TmBox
 Twitter
第3世代
2014~
スマホアプリ nana
melocy
ツイキャス
 LINE

第1世代(2007~)

ニコニコ動画がリリースされたときはまだ国産SNSがとても元気だった頃で、mixiと似たようなインターフェースのSNSが各分野で無数に立ち上げられた時代でもあります。

当時はOpenPNE(オープンピーネ)というオープンソースのソフトウェアが大流行していて、誰でも気軽にmixi風のSNSを設置することができたのです(`・ω・´)

ボーカロイドにゃっぽん!とその周辺

もちろんニコニコ動画界隈でも数多くのSNSが立ち上げられましたが、その中では最大規模であって、このシーンの中心的な役割を担っていたのが「ボーカロイドにゃっぽん!」です。

ボーカロイドにゃっぽん!は有志によって立ち上げられたSNSであり、初音ミクなどのボーカロイドファンを横につないでいく役割を果たしていましたが、現在は惜しまれながらもクローズしてしまいました。

その受け皿として様々な同様のSNSが名乗りを上げていましたが、現時点で最有力なのはVCLFAN.NET(ボーカロイドファンネット)かと思われます。

ちなみに歌ってみたのSNSである「シングリンク」も、もともとはボーカロイドにゃっぽん!の姉妹サイトの1つでした。同じタイミングで閉鎖の話も出ていましたが、シングリンクは継続しております。(このあたりの話をすると長くなってしまうのではしょります)

音声投稿サービス周辺

今までは音声アップローダーというと2ちゃんねるでの利用が主で、どうしてもアングラな感じが付きまとっていました。ところがニコニコ動画がメジャーになるにつれて、音声をアップロードしたいというニーズが高まり、メジャーな音声投稿サービスというものがいくつか生まれてきました。

そのうち最も有名なものは「ケロログ」でした。今のようにクラウドで簡単にスケールアウトという時代でもありませんので、サービスの拡充が追いつかないようで、しょっちゅうサーバーが重くなっていました(´・ω・`)

「こえ部」はその中にあっても若干異色なサービスで、どちらかというと「モバゲーっぽい」空気感だったと思います。なんというか独特の入りづらい雰囲気というか、その感覚を一言で表すならば「俺様の美声に酔いな!」という感じでした。

「天王はるかの声まねが得意です!海王みちる担当の方を募集しています!」みたいな10代女子がたくさんいたような感じ・・・。

とはいえ一方で歌い手ごっこ感覚で楽しむようなこともできたようで、「ニコニコ動画の歌い手に憧れているけど、自分でニコニコ動画にアップロードするのは気が引ける」という10代女子の心を捉えていたのは確かだと思います。

第2世代(2010~)

Twitterの存在感がどんどん高くなっていった一方、mixi系SNSでは投稿数やログイン数の減少など、いわゆる「過疎化」という現象に悩まされるようになりました。

当時はスマホの普及率が上がっていったことと、その上でのTwitterクライアントが非常に使いやすかったことが大きく影響しているものと思われます。既存のSNSが次々と失速していく一方で、Twitter連携サービスはそれに反比例するかのように大きな盛り上がりを形成して行きました。

Twitterの普及と歌い手ブーム

Twitterは情報拡散力の強さが特徴で、多くの人が同じ情報を一気に共有することが可能になりました。そのためクローズドなmixi系SNSに比べて巨大なムーブメントが起こりやすくなったようです。

ニコニコ動画で人気の歌い手たちが続々とエグジットチューンズレーベルにて音源をリリースしていき、いわゆる「歌い手ブーム」と呼ばれている現象が発生したのもこの時期です。

コミュニティの希薄化

逆の現象として、前の世代のような濃いコミュニティが発展しにくくなったということにも注目していく必要があります。

この時期なのですが、あまり書くべきことが見当たらないのですよね。Twitter連携サービスの盛衰を書いても、果たしてどうなのかという気はしますし・・・。

ニコニコ動画もかつてのようなアンダーグラウンド感はなくなっていき、次第にメジャー化していった時期でもあります。

第3世代(2014~)

LINEの普及によってTwitterが主要なコミュニケーションツールではなくなりました。この時期は第1世代にも似た印象で、より閉じた小さなコミュニティが好まれるようになりました。

ところが歌を聴いてほしいというようなタイプの人は、これでは不満なのです。もっとたくさんの人に聴いてもらって評価してほしい。かといってTwitterで全世界に発信するのもどうなのかな、という悩み。

nanaの時代

その中間あたりの絶妙なバランスで出てきたのがnanaという音声共有アプリではないかと思うのです。

nanaを見てみると分かりますが、ほとんどがボカロ楽曲のカバーです。

ニコニコ動画の歌い手に憧れていて、本当は自分も歌い手をやってみたいけど、機材やミックスのこともよくわからないし、アプリで手軽に歌を重ねられるnanaでカラオケを投稿してみよう、という10代女子がメインユーザーであると考えられます。

というわけで、nanaのユーザー層が、かつてのこえ部と完全にかぶるんですよね・・・。

nanaとmelocy、そしてこえ部

この分野において、nanaを筆頭に、直接的な競合であるmelocyと、古参のサービスであるこえ部とで、互いにサービスを高めあっているような印象もあったのですが、この中でこえ部がクローズすることが決まってしまいました(´・ω・`)

例えば、このような位置づけの表だとすると・・・

mixi こえ部
モバゲーTOWN nana
GREE melocy

とはいえこれらのコミュニティも本質的には、ニコニコ動画で生み出されるボカロ曲や歌い手の文化に依っているもので、メジャー化していったニコニコ動画の果たしている役割はまだまだ大きいような気がしています。

音声投稿アプリから才能が発掘される時代

nanaユーザー(nana民と呼ばれる)が、ニコニコ動画関係のライブに出演する動きが最近よく見られるようになってきました。

僕が最近出演させていただいているSTAR DUSTもこのようなライブのひとつなのですが、ニコニコ動画ではなくライブハウスに進出してくる動きというのが目立ってきております。

全世界に拡散するインターネットではなく、情報の拡散が地理的に限定されるライブハウスのほうが、LINEネイティブな10代の方に好まれているのかもしれません。

カラオケだからこそ実力がはっきりわかるという点も、ミックス前提となってきたニコニコ動画とは大いに異なるところで、ここから新たな才能が発掘される時代も、そう遠くはないのかもしれません。

プロフィールかけぼ(ckbx_cakebox)

うたったりおどったりしよります(๑`・ᴗ・´๑)
音楽系サービスFrekulのエンジニアでもあります(。・ω・) 最近はラバノーテーション(ダンスの楽譜)にはまってます٩( ‘ω’ )و
踊ってみた動画はこちら → http://nico.ms/sm31776982

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